黒のニットキャップでシカを追う
いつだったか新聞のコラムで誰かが
「トシをとると新しいものが入ってこなく(入りにくく、だったかも)なるんだよ」
と書いていた
ほんとうにそうだなあと最近思う
(もちろん性格上、意地で拒んでいるようなところもいくらかはある)
映画だって古い作品やかつてみたものばかりを好んで選んでいるし
本も同様
友人関係も同様
大事にしていきたいものはもうこれでじゅうぶんってところかな
ただし、自分で悲しいな、残念だな、と思うのは
数年前までは情熱(?)をもって取り組んだことが
「あれはもう過去の私」みたいになってしまったこと
火が消えたみたいに
今宵は
“ディア・ハンター”
戦場から戻りたったひとり
山でシカを追いながら遠くの友を思う
そんな主人公の姿がとても好ましく
追うのは目の前に見えるものだけど
意識は山より遙か彼方へ