2019-03-10から1日間の記事一覧

夢のような宴席はそんなこんなで瞬く間に過ぎてゆきお開きとなる。店の戸を開け外に出ると温もった頬に冬の空気が心地よい。寒いだろ?おれのを掛けてけよ、とミフネくんがわたしの襟元に深紫のマフラーを。すっぽりうもった鼻先にタバコとさっきまでの鍋の…

さあすっぽんだ。ここで食べないわけにはいかない。カツくんは器にすっぽんを取り分けている。ヤナガワおまえ、最近やせ過ぎだ。昔はもっと肉付き良かったよな?まーたろくでもない男とややこしいことになって恋やつれしてるんじゃないのかあ?いかんいかん…

“久しぶり”のひとたちとお酒を呑んで大好きな映画の話を聞き笑顔を見ているのはほんとうに幸せだすでに酔いも回っているわたしが決まり事をはずさないかは冷静な幹事のナカダイくんがしっかりその眼技をもって制しているなので安心して時間を過ごすことが出…

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お銚子が運ばれ、宴が始まった。わたしとミフネくんは瓶ビール。もちろん黒地に星がついてるアレ。おい、こうやって四人でこの店、とは何年ぶりかな?昔を思い出すな。とミフネくんが話し始める。もちろん初めてのことだけど・・そんなことは関係なし。鍋の…

ほんとうにこんなことがあるのか?からかわれたのか?いやいや、ナカダイくんはそんな手合いの人間じゃない。指定された日が近づくにつれ落ち着けわたし、と三つの決まり事を唱え続けその気になっていく。一度も(実物に)会ったことはなくとも、そして“あの…

決めごとは・・・①“どんな”ひとに会っても普段どおりに振る舞うべし。旧知の間柄のような顔をして。向こうもそう振る舞うことになっている。そういった環境設定が必須ですから。つまり、びっくりしたり感激しても顔に出したりうれしさのあまり涙ぐんだりそう…

すっぽん鍋4人会

『宴会幹事(企画)はナカダイくん。わたしが彼にあの世から呼んでほしいとお願いしたのはあのおふたり。「約束さえ守れるなら夢を実現させますよ」まるで日本映画専門チャンネルそのままの(?)昭和豪華絢爛宴席にわたしは冷静でいられるのか?』 1 今日…

妄想鍋

春が来たらしい 数人の友だちはこの冬 「カニ食べに行っていた」 などと連絡してきた わたしはカニにもカキにも 心が動かない もうどちらもシーズンは終わったか・・・ それでも 鍋は好きだ 料理らしい料理をしなくても 賑やかで温かくうまい あの湯気の向こ…