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お銚子が運ばれ、宴が始まった。
わたしとミフネくんは瓶ビール。
もちろん黒地に星がついてるアレ。
おい、
こうやって四人でこの店、とは何年ぶりかな?
昔を思い出すな。
とミフネくんが話し始める。
もちろん初めてのことだけど・・
そんなことは関係なし。
鍋の湯気のなかで昔話が弾む。
撮影所のこと
監督や共演者との思い出
酒・女がらみの秘話
もちろんわたしも(約束なのでさりげなく)会話に加わる。
本当ならわたしが鍋の世話をすればよいのだろうけれど
手慣れているナカダイくんがやってくれるので
もっぱらお酌をしたり注いだり。
◇
最近映画みてるかい?と
ミフネくんがわたしに話を振ってきた。
ええ、相変わらず古いのが多いですけどね
こんなだからなかなか話の合う人がいなくって。
ヤナガワは古臭い女だからな、とカツくん。
いやいやこれ、誉めてんだぜ。
ほら、今日のおべべもなかなかなもんだ。
そう、わたしは今日さんざん悩んだ挙句
お気に入りの黄八丈を着てきたのだ。
そう言うカツくんも和装だった。
が、
足を見るとなんと素足だ。
足袋はどうしたんですか?
おう、足袋か?
出がけにみたら破れてたんだ。探すの面倒でよ、そのまま下駄はいて来ちまった。
破れてた足袋はほれ、パンツのなかに入れてきた。
わーははは。
お前そういや「もうパンツははきません」とか言ってたんじゃないのか?
とミフネくんが突っ込む。
そうだ、ありゃあ名言?いや迷言だったなとナカダイくん。
爆笑する一同。
(つづく)