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ほんとうにこんなことがあるのか?
からかわれたのか?
いやいや、
ナカダイくんはそんな手合いの人間じゃない。
指定された日が近づくにつれ
落ち着けわたし、と
三つの決まり事を唱え続け
その気になっていく。
一度も(実物に)会ったことはなくとも、
そして“あの世”からの客人であろうと、
「わたしは彼らと旧知の仲なのだ」
◇
季節は冬。
会場は京都の老舗すっぽん料理店。
座敷に通されると
床の間を背にナカダイくんが鎮座していた。
やあやあいらっしゃい。
寒かったでしょう?まあお座りなさい。
いつだって彼は冷静かつおしゃれで紳士的。
最近どうですか?体調いかが?などと話しているうち
ミフネくん到着。
洋装だ。髪はきちんとなでつけてある。
よお!
いやあまいったまいった。
といいながらどっかと胡坐をかき
ネクタイを緩め、あごを撫でている。
なにがまいったのかしらないけれど
今日は機嫌良さそうで一安心。
だって機嫌の悪いときの彼に
ヘタに声はかけられない。
寄らば斬るぞ、みたいな。
あとはカツか?
あいつ遅いな。
さきに始めちまおうぜ、とのミフネくんの声に
みんなで卓上の材料に目をやっていると
ガラっとふすまが開きカツくん登場。
う゛う゛~
寒いったらありゃしない。
鼻水も凍っちまう!
あ゛~腹減ってんだ。
いや待て、それより酒だ!酒!
(つづく)