顔料

子どもの頃に読んで

タイトルも作者も

しっかりしたストーリーすら覚えていないものの

「あれをもう一度読んでみたい」

そう思っていた小説があった

 

ジャンルは推理小説

殺人事件に関わった物語だったので

それだけは間違っていない

断片的に覚えていることは

若狭が舞台で

“加斗”という地名と“ベンガラ”という言葉だけ

 

なぜそうこだわるかいうと

わたしが以前暮らした街に

Mという会社(工場)があり

ベンガラを製造(精製か?)しており

その建屋が赤茶色に不気味な染まり方をしていて

見るたびにその推理小説のことを思い起こさせたからだ

ああ、あのベンガラだと

 

この間からまた

「あれをもう一度」病が出て

検索しまくった

我が家の(父親の)書棚には

当時は文学全集か戦記か山岳モノ程度しかなく

推理小説があったとしたら

あの頃ならば松本清張高木彬光、佐賀潜・・

松本清張ならばわかるので除外して

それらしき作家の作品一覧を検索してみたがわからない

記憶にあるキーワードで調べているうちに

そうだ、水上勉かもしれないと思った

水上勉作品は父も好きだったし

わたしも読んでいるほうだが

水上=推理小説とは思いつかなかったのだ

若狭なら水上だし

 

そしてそれらしきタイトルに行き当たった

若狭湾の惨劇」!

わたしが読んだのはハードカバー

ストーリーの詳細は出ていなくても

そのカバー画像を見て間違いないと確信

 

・・・・・・・・・

 

 

今日、その文庫がAマゾンから届いた

カバーはなく変色し少々かび臭く文字も小さいが読める

そして

わたしの探していた小説だった

 

小学生のころ

コナン・ドイルなどはよく読んだが

もしかしたら

わたしが最初に読んだ(大人の・日本の)推理小説

これだったかもしれない

 

うれしい再会

 

ちなみに

作中に出てきた言葉は

“ベンガラ”ではなく

“ベニガラ”だった

 

 

 

 

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