風車のある町

f:id:kj519:20180211180741j:plain


寒い日が続く

仕事以外はほとんど引きこもりな日々

深夜PCに向かい

あそこへ行きたいだの

あの人に会いたいだの

想像妄想は止まない

 

 

で、

わたしの心は

あの町へ行く

 

・・・・・・・・

 

 

 

その町の上には“風の通る道”がある

 


 

扁平な稜線が幾重にも重なって
その合わさるところには
ぱふっとした刷毛を使ったように
ぼかしが入るのだ


その絶妙な自然の作為には
どんな化粧師もかなわない

 

そしてその一番上のラインから
天に向かって垂直に二十数本の
純白の巨大な風車が生えている

 

 

遠く離れた電車の中から
またはまったく裏側の風景を車の中から
何度か眺めてきたわたし
いつしか残像を待ち受け画面のように
自分の中に設定されてしまった


遠い遠い昔には
旅人たちが笠をその風に取られたという
笠取山」と名づけられた山のすぐそば
風車は立ち
真下から見上げると思いもよらないスピードで
三枚の羽を回転させ
唸りをあげながら回る

 

 

うんうんうんうんん、と

 

 

 

おおい、わたし、とうとう来たよ
海からやってきた風はこの場所を通り
どこへ行くのかおまえに尋ねてみたくて


通りすがりに羽に触れて
山を駆け下りるとき
躊躇ったりはしていないか
来た道を引きかえすものはいないのか

風とは不思議なもの
目には無くとも
行過ぎたあとをなぜか追ってしまう

 

だから憧れるのかもしれない