浪の下にも都の候ぞ
子どものころの怖い話といえば
四谷怪談、雪女、耳なし芳一
洋モノならば
ドラキュラ、フランケンシュタイン
そんな時代だった
ホラーなんていう言い方はなかった
高校生になったころには
オカルトブームがやってきた
怖い(映画)っていうのは
見た目が怖いとか血が飛び散ればいいわけじゃなく
人間の内部に潜むものだとわかっていく
さて
原点回帰ってわけで
映画の『耳なし芳一』をみてみた
1965年の“怪談”(オムニバス)の中のひとつ
子どものころに買ってもらった小泉八雲の本はよく読んだし
好きな(?)ストーリーだ
芳一の中村賀津雄
住職(志村喬)に般若心経を全身に書き付けられる芳一
こうして映像になると凄い
寺男の田中邦衛と花澤徳衛
いい味出してる
琵琶の音って
本物を聞いたことがないけれど
なんともいえないなあ物悲しくて
あと
芳一を迎えにやってくる甲冑姿の侍(もちろん平家の亡霊)が
丹波哲郎で
これがまたカッコよくてため息が出る
腹から搾り出すようなああいう台詞
もういまどきの若くて小奇麗な俳優では
出来んわなあ・・・
芳一は鬼火舞う墓場に座り
琵琶を弾きながら壇ノ浦の合戦を語る
それを取り囲み涙する平家の亡霊たち
怪談とはいっても
スケールが大きいというか格調高いというか
とても美しい場面だ