春なので 空が青いので

昨日ふとしたきっかけから
古いメモリーを探って
およそ10年前に書いたものを掘り起こすことになってしまった


今、自分のひとつの節目として
あらためて手も入れながら
過去日記をUPします




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2002年8月13日 『青い春』



松本大洋原作の「青い春」という映画を見に行った。

この人の漫画がたいへん評判になっているということは
ずいぶん前から知っていたが、
なんとなく私のようなおばさんが
手を出してはいけないような、そんな気がしていた。
この夏にはあの窪塚洋介主演で「ピンポン」も上映されている。
これまた同じ理由で二の足踏んでいる。
なのに「青い春」を見に行こうと思ったのは上映館が私の好きなところだったから。


青い春というタイトル、つまりある男子校青春ストーリーだ。
熱くなるわけではなく、深刻になるわけでもなく、
桜吹雪とともに物語は淡々と進む。
主人公・九條役の松田龍平をスクリーンで見るのはあの「御法度」以来。
あの映画のときは見ていてなんだか痛々しく、大物を父に持つということはつらいだろうなー、
なんて同情してしまった。
それでも今回、学生服に身を包み校舎の屋上で空を見つめる松田龍平は自然だった。
なまじっか美しい顔立ちであるための苦労は多いと思うが・・・。


彼以外の若い俳優たちも、それぞれ魅力的だった。
落書きとタバコの吸殻にまみれた鉄筋校舎の殺伐とした風景の中で
みんな映えていたと思う。

男子高校生がその成長過程でもてあます(注・推測。私は経験がないので)心と身体。
特にその窮屈な黒い学生服の中に閉じ込めているものを
不釣合いな教室内のサイズの合わない机と椅子に填め込むかのようにしている授業中の姿。
大きな背中を丸め、くたびれたカバンから教科書とノートを取り出し、
ときおり運動場を気にしながら黒板を見ているシーン。
私の好きな「キッズ・リターン」ともだぶる。



見に行ってよかった。
松田龍平には桜吹雪が良く似合う。